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2009年12月16日
箱(前編)

この度は ブログ小説に挑戦しました。
稚拙ですが、暇つぶしにお読みください。


 「足がひっついてとれない」
二男、タカシの悲鳴が台所に響いた。
長男、タクヤは目の前で起きていることが
どういうことを意味するか瞬時に理解し、青ざめた。

深夜、台所に侵入した時
あたりに漂う甘い香りがタカシの理性を吹き飛ばしたのだった。

「あんなに気をつけろと言ったのに・・・」
タクヤの目の前には2年前の悪夢が蘇るあの箱があった。
親父とお袋が殺されたのもここだった。

タクヤには、喧嘩無敵の親父と優しいお袋がいた。
仲の良い自慢の両親だった。

その日はいつものように台どころの隅を歩いていた時だった。
ふいに親父とお袋の、嗅覚がご馳走のありかをキャッチした。
臭いの発信源は、紙製の箱の中だった。
用心深い両親にしては珍しく大胆になっていた。
このところ、みんなが飢えていたのだ。
ネバネバした粘着が足にからみつき、次第に身動きがとれなくなった。
「タクヤ来るな」
そう叫ぶ親父とお袋の声に 事の重大さを知り、逃げるようにして帰った。

翌朝、タクヤは台所に親父とお袋を探しに行ったがどこにもいなかった。
代わりにあの、悪魔のような箱だけがおいてあった。

あの悪夢が再び繰り返されうとしていた。
「冗談じゃない。タカシは生まれて間もない
まだ、ケーキやジュースの美味しさだって知らない」
おびえきったタカシをなだめ、タクヤは必死で脱出方法を考えた。
タイムリミットは人間が起きてくる夜明けまで。
日の出まで1時間を切っていた。    

                 (続く)

投稿日時:2009年12月16日 17:40 ページを表示