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目と耳のライディングバックナンバー

◆第346回 永遠の若大将を聴く (22.Jun.2015)

 昨年(2013年)、加山雄三主演の映画「若大将シリーズ」がBSジャパンで一挙放映された。これを機会に全17本を観た。毎回、同じ筋立ての映画を、よくもまあ17本も撮ったものだと感心しないではいられなかったが、それだけ加山雄三の人気がすさまじかったということだろう。加山雄三自身による劇中歌も、この映画の魅力のひとつで、「君といつまでも」や「お嫁においで」など多くのヒット曲が生まれている。
 特筆しておきたいのは、若大将シリーズと並行して、加山雄三は黒澤明監督の『椿三十郎』、『赤ひげ』をはじめ、岡本喜八の『日本でいちばん長い日』など数々の傑作に出演していることだ。単なるアイドル的な人気で映画に出ていたわけではないとわかる。スポーツ万能、作曲家、歌手、ギタリストとしても一流なのだから、これ以上のスーパースターもいない。
 ちなみに、私の母が加山雄三のファンで、「わたしが連れていったから、若大将シリーズは純も全部観ている」と言うのだが、あいにく記憶にない。
 その加山雄三のファイナルコンサートツアー『若大将EXPO 夢に向かって いま』を、北上市のさくらホールで聴いてきた(2015年6月14日午後4時開演)。
 このツアーを始めた去年、加山雄三は77歳だった。ラッキー7がふたつ、縁起がいい。武道館で単独コンサートを開いた最高齢の記録保持者なのだという。そして今年、78歳。
 しかし、まったく年齢を感じさせない。ステージの上にいるのは、やはりあの若大将だ。
 ヒット曲を3~4曲、切れ目なく続けて歌って、トークが入る。たたみかけるように続けて歌うところが凄い。声に衰えはない(さすがに終盤になって、かすれてきたが)。
 愛用のモズライト(ザ・ベンチャーズのノーキー・エドワーズらが使っていた往年の名器)によるギターソロも、味わい深く、誰にも真似をできないワン・アンド・オンリーの演奏だった。
 演奏曲目は公表されているので、下に記しておく。
  このところ、私は1960年代の日本のポップス(歌謡曲やGS)を聴いている。私は十代はじめのころから洋楽ばかり聴いてきたから、実はそのころの日本のポップスをあまり熱心には聴いていなかった。
 それでも、自然に耳に入ってきていたから、どれも記憶の片隅に残っている。それらを今、私はちゃんと(ある意味でジャズを聴くときのように)聴いている。懐かしさ(ノスタルジー)で聴いているのではない。曲のクォリティの高さにしばしば驚かされる。
 こういうタイミングに加山雄三を生で聴けたのは大きなプレゼントだった。
 加山雄三の60年代のヒット曲には何か底知れぬパワーがみなぎっていて、聴いているものを否応なく元気づける。それらの曲が散りばめられた映画「若大将シリーズ」は、年代的に日本の高度経済成長期と合致している。とにかく前へ前へとガムシャラに突き進んだ時代だ。そういう時代のパワーが、曲のなかに溶け込んでいるような気がしてしまう。
 そして、加山雄三の曲は子ども(当時は私も子どもだった)から大人にまで幅広い年齢層に知れ渡っていた。今のヒット曲は年齢層ごとに分かれているから、そういうことはありえない。
 コンサートの余韻に浸りながら、そんなことを考えた。
01. 光進丸
02. 海がそこにあったから
03. BOOMERANG BABY
04. RIP IT UP
05. HONKY TONK PARTY
06. BLUE SUEDE SHOES
07. SWEETEST OF ALL
08. 恋は紅いバラ
09. 蒼い星くず
10. ブラック・サンド・ビーチ
11. 夕陽は赤く
12. ブライト・ホーン
13. お嫁においで
14. YESTERDAY
15. DIAMONDLINE
16. バーガー&ヌードル
17. 夜空を仰いで
18. まだ見ぬ恋人
19. 二人だけの海
20. 君のために
21. 幻のアマリリア
22. ある日渚に
23. 大空の彼方
24. 美しいヴィーナス
25. 旅人よ
26. 海 その愛
27. 君に大空を
28. ひとり渚で
29. 夕映えの恋人
30. ぼくの妹に
31. 加山雄三通り
32. 湘南ひき潮
33. この愛いつまでも
34. その日海からラプソディ
35. SING
36. AND I LOVE YOU SO
37. 逍遙歌~そぞろ歩けば~
38. サライ~若大将50年!ver.
39. ソラノトビラ
40. 星の旅人
41. 座・ロンリーハーツ親父バンド
42. MY WAY
43. 君といつまでも
44. 夜空の星
45. Dreamer~夢に向かって いま
〈このごろの斎藤純〉
○マイブーム60年代歌謡曲が高じて、バンドを組んでしまった。9月にコンサートを予定しているので、決定しだいお知らせさせていただこうと思う。
GSフォーエバー100を聴きながら