HOME > 目と耳のライディング > バックナンバー2015
目と耳のライディングバックナンバー

◆第349回 懐かしいお化け屋敷 (3.Aug.2015)

 盛岡市鉈屋町に昨年オープンしたもりおか町家物語館で開催中(8月30日まで)の「高橋克彦プロデュース お化け屋敷」に行ってきた。
 これは2003年にもりおか啄木・賢治青春館で約3ヶ月間開催され、なんと4 万5千人を動員した「高橋克彦プロデュース ぼくらの時代展」の続編だ。「ぼくらの時代展」は昭和30年代の玩具や雑貨、レコード、雑誌などを当時の街並みを再現した会場で展示。会期中には紙芝居や朗読劇、懐かしのレコード・コンサートなどのイベントもあり、好評を博した。あのとき、克彦さんは「いつかお化け屋敷を再現したい」とおっしゃっていた。したがって、12年越しに実現したことになる。
 お化け屋敷の中について具体的に書くことは興醒めだからやめておく。私は八幡宮のお祭りのとき、小屋掛けのお化け屋敷(とサーカス)を楽しみにしていた世代だから、仕掛けに怖がりながらも「ああ、こんなだったなあ」と懐かしかった。
 その仕掛けについてだけは、ちょっと補足しておきたい。私は今風のお化け屋敷を知らないのだが、どうやら感性や本能に訴えるのではなく、物理的に「脅かす」仕掛けが主流らしい。町家物語館の仕掛けは、もちろん、そうではない。
 改めて考えると、本来、人間は「暗がり」というだけで脅える。『陰影礼賛』じゃないが、その暗がりも今は珍しい「存在」となった。だから、町家物語館のお化け屋敷で「闇」を経験するだけでも楽しめるのではないかと思う。なお、お化け屋敷の木戸銭(入場料)は大人800円です。
 上記の関連イベントとして、怪奇短編小説を100編執筆なさった高橋克彦さんの偉業を記念して、ご自身のセレクションによる朗読劇もある。
第一夜 7月24日(金)★『声にしてごらん』大塚富夫 ※終了
第二夜  31日(金)★『幽霊屋敷』伊勢二朗/嵯峨瞳 ※終了
第三夜 8月8日(土)『寝るなの座敷』大森健一
第四夜  14日(金)★『玄関の人』村松文代/多田研三
第五夜  21日(金)『おそれ』『桜の挨拶』『不思議な卵』『素敵な叔父さん』小野寺斉子/鐙浩史
第六夜  22日(土)『ねじれた記憶』『雪明りの夜』江幡平三郎第七夜
第七夜  28日(土)★『幽かな記憶』伊勢二朗/嵯峨瞳
(★の日には高橋克彦さんと読み手による怪奇対談がある)
〈このごろの斎藤純〉
〇盛岡では珍しい古楽オーケストラ「ラ・ムジカ・コッラーナ」のコンサートがある。バロック時代の演奏の再現を試みる古楽は、クラシック音楽に「新しい発見」をもたらしてくれる。なお、盛岡出身で東京藝大大学院に在学中のヴァイオリニスト吉田爽子さんも楽団の一員だ。盛岡から本格的な古楽奏者が誕生するのを私は心から喜んでいる。
プログラムはヴィヴァルディの合奏協奏曲「田園風」、ドゥランテの弦楽のための協奏曲ほか。
【日時】8月28日(金)午後6時30分開演
【会場】盛岡市民文化ホールマリオス小ホール
【料金】一般2500円(全席自由)
ベスト・オブ・ザ・サーファリーズを聴きながら