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目と耳のライディングバックナンバー

◆第394回 歳を重ねてますますヤバい坂田明ワールドに浸る(26.Jun2017)

 「梵人譚(ぼんじんたん)東北ツアー」(花巻ブドリ舎にて6月18日午後6時30分開演)に行ってきた。坂田明さんのライブを聴くのは4年ぶりだ。珍しく少し間が空いてしまったような気がして、坂田明さんのライブを私は過去にどれくらい聴いてきたか、日記やメモやインターネットをほっくり返して調べてみた。
2002年7月18日 (第29回参照) 「セッション」目黒ブルースアレイ(東京)
バカボン鈴木(ベース)、鶴谷智生(ドラムス)、白井良明(ギター)、井上鑑(キーボード)、是方博邦(ギター)、ヤヒロ・トモヒロ(パーカッション)
2002年12月21日(第40回参照)「坂田明シークレット・ライブ」旧伴天連茶屋 
JCメモリアルバンドとの共演
2007年1月7日「ひまわりコンサート」岩手県民会館中ホール
フェビアン・レザ・パネ(ピアノ)、宮野弘志(ドラムス)、ヤヒロトモヒロ(パーカッション)
2008年10月14日(第186回参照)
「坂田明&ちかもらち/ジム・オルークと恐山:内乱の内覧ツアー2008」ブドリ舎
ジム・オルーク(ギター、シンセサイザー)、ダーリン・グレイ(ベース)、クリス・コルサーノ(ドラムス)
2009年6月28日すぺいん倶楽部
黒田京子(ピアノ、ヴォーカル)、水谷浩章(ベース)
2013年6月1日「坂田明&さかたかたかさ」ブドリ舎
坂田学(ドラムス) 、かわいしのぶ(ベース) 、坂口光央(キーボード)
 残念ながら2001年以前の記録を見つけられなかった。黒田京子さんが入っているライブを2008年以前に一度聴いているのに、これも記録を見つけられなかった。
 生で初めて聴いたのは「寿限無ツアー」(1981年、岩手教育会館。正式なツアー名はわからない)だから、ま、ずいぶん昔だ。エフエム岩手で私が制作を担当していた『オール・ザット・ジャズ』にゲスト出演していただいたのが1986年だったと思う。
 さて、今回のメンバーはジム・オルーク(ベース)、ジョバンニ・ディ・ドメニコ(ピアノ)、山本達久(ドラムス)。バンド名の梵人譚は坂田さん曰く「意味はない。考えても無駄」とのことだ。ピアノのジョバンニはクラシックの素養があるらしく、ときおりオリヴィエ・メシアンを彷彿させた。ベースのジム・オルークは2008年に来たときはエレキギターを弾いていた。アンプリファイドしたウッドベースにエフェクターをたくさん効かせていた。山本達久のドラムスは初めて聴いたが、いやあ、凄かった。坂田さんを煽ること煽ること、電光石火のサックスが炎を吹いた。
 坂田さんはボーカルもおもしろい。意味のわからないハナモゲラ語で民謡調の曲を絶唱するとき、坂田さんは真剣そのものだ。意味のないことにこそ意味があるのだ、と坂田さんなら言うかもしれない。かと思うと、記録映画『白神の夢』のためにつくった美しいメロディの「ハタハタ」をじっくり聴かせる。アンコールの「ひまわり」も胸に迫る名演だった。
 それにしても、坂田さんはまったく年齢を感じさせない。ジャズの場合は年齢とともに渋くなっていくのが定型なのだが、坂田さんにはこれが当てはまらない。相変わらずパワフルだし、スピード感も衰えない。頭が下がる。
 この日、会場には県内外のジャズ喫茶のマスター(かつてのマスターも)らとジャズ愛好家が集っていた。その方たちとも、もう30年から40年以上のお付き合いだ。坂田さんのおかげでいいひとときを過ごすことができた。
〈このごろの斎藤純〉
〇梅雨入りしたものの、今のところ降雨量が少ない。農業への影響が心配だ。
グラント・グリーン:ライブ・アット・ザ・ライトハウスを聴きながら