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目と耳のライディングバックナンバー

◆第407回 23回目を迎えた盛岡文士劇 その2(15.Jan.2018)

 盛岡文士劇について追記させていただく。
 出演者の着付け、化粧、髪結いなどを行う楽屋が、今年はいつにもまして賑やかだった。というのも、ヘアメイクを盛岡ヘアメイク専門学校の学生が担当してくれたからだ。
 盛岡ヘアメイク専門学校の学生たちは本番前日の最後の稽古と本番直前のゲネプロ(総仕上げに行う稽古で本番同様に衣装・鬘を付け、化粧も施す)の際にいくつか問題点や反省点を見つけ、本番ではそれらを創意と工夫で克服し、我々を驚かせた。若い人たちの発想と実行力に感銘を受けないではいられなかった。
 学生たちは「舞台用ヘアメイク」という慣れないことに一所懸命に取り組みながら、ロバート・キャンベルさんや米澤かおりさんら「テレビでよく見知っている」方たちとの交流も楽しんでいた。
 この中から将来、舞台やテレビなどの裏方として仕事につく人が出てくるかもしれないと私は想像した。私の中学の同級生が、TBSの化粧部(正式な部署の名前は失念)につとめていた。デビューしたてで専属のヘア・メイク担当者がいない(売れっ子になるとちゃんと専属の人が付く)アイドル歌手のメイクなどをした話を聞いたことがある。
 盛岡ヘアメイク専門学校の学生は明治を舞台にした第20回の『新・岩窟王』の際にも盛岡文士劇のスタットとして参加している。盛岡文士劇の知られざる一面と言っていいだろう。
 また、今回はクラシックの演奏家による生演奏もあった。山口あういさん(ヴァイオリン)、馬場雅美さん(ヴァイオリン)、三浦祥子さん(チェロ)、村野井友菜さん(フルート)と岩手の音楽シーンを牽引する実力者らだ。たいていの場合、客席から見えない場所で演奏するのだが、ステージにキャストとして上がって演奏する形をとった。この演出効果もよかった。
 演奏された曲は、オリビア・ハッシーが強烈な印象を与えた映画『ロミオとジュリエット』のテーマ曲や、プロコフィエフのバレエ音楽『ロミオとジュリエット』から「騎士たちの踊り」などで、この連載でもお馴染みの寺崎巌さんが編曲を担当された。盛岡文士劇ならではの舞台音楽になったと思う。
〈このごろの斎藤純〉
〇遅ればせながら、本年もよろしくお願いします。
〇この冬は市内には雪があまりないものの、スキー場は質・量ともに雪に恵まれている。おかげで年末年始はスキー三昧で過ごすことができた。
〇2月にはデビスカップ(100年以上の歴史を持つテニスの国別対抗戦)の日本対イタリア戦が盛岡で開催される。めったにない機会なので観戦に行きたいと思うが、スキーで散財中なものだから、高価なチケットに躊躇っている。
プロコフィエフ:ロミオとジュリエットを聴きながら

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