トップ > 目と耳のライディング > バックナンバーインデックス > 2007 > 第147回


◆第147回 ゴールデン・ウィークの必見(16.april.2007)

 NHKの『新日曜美術館』(以前の番組名は『日曜美術館』)はテレビをあまり見ないぼくも割りと見ている。昨年、放送を開始して30周年を迎えたというから長寿番組だ。
 じっくりと見せる番組だし、必ずしも大衆向けとは言い難い番組が30年もつづいてきたことは特筆に値する。何かと問題のあったNHKだが、こういうところはさすがだと素直に認めるべきだろう。

 巷ではこの番組で紹介された展覧会は入場者が増えるといわれている。実際、番組で紹介される前と後とではかなりの差がある。テレビの力は怖い。なにしろ、納豆を店頭から消すこともできるのだから、善くも悪くも現代の錬金術師と言って過言ではない。

 それはともかく、番組の30周年を記念する『NHK日曜美術館30年展』が岩手県立美術館で行なわれている(5月13日まで)。これは美術愛好家から、美術館に行くのは初めてという方まで幅広い層が楽しめる好企画だ。
 というのも、百花繚乱とはこの展覧会のためにあるような言葉で、ピカソと上村松園を同じフロアで観られる展覧会なんてそうあるものではない。ちなみに、上村松園の『序の舞』は重要文化財。ほかに2点もの重要文化財が来ている。これは県美(岩手県立美術館のこと)開館以来、初めてのことだ。

 時代もジャンルもばらばらだけど、集められたのは超一流の名品だから、むしろ見飽きない。そのうえ、番組のダイジェストのビデオが会場で放映されていて(これも初めての試みだ)、それを懐かしく見ていると、軽く1時間半くらいは要してしまう。

 改めて言うまでもないことだけれど、絵は画集やテレビで観ただけでは観たうちに入らない。図録などではパッとしない絵が、実物は素晴らしい輝きを放っているなどということがザラにある。

 クラシック・コンサートや演劇、能などもテレビで見るとついうたた寝などしてしまい、退屈なものと決めつけがちだが、これも生で観るとテレビとはまったく別物であることを思い知らされる。

 だから、この番組を観ていた方は、本展覧会できっと大きな驚きを得られるだろう。
 もちろん、番組をご覧になったことがない方も充分に楽しめる。

◆このごろの斎藤純

○選挙のたびに思うのだが、あの選挙カーによる街頭活動は何とかならないものだろうか。いくら大声でわめいたところで、投票率はいっこうに上がらない。どうして、そのことを問題にしないのか不思議だ。投票率が低下の一途をたどるのは、現在の選挙制度に問題があるからだ。選挙カーは一例にすぎない。選挙制度をこんにちの実情に合ったものに大改革すれば、投票率は上がる。投票率の向上は国をあげての課題だ。選挙は民主主義の根幹なのだから、一刻も早く何とかしてもらいたいと切に願う。

バッハ:リュート組曲を聴きながら