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◆第167回 オペラに酔う(28.january.2008)

いわぎん75周年スペシャル プラハ国立劇場オペラ 『魔笛』
1月18日 午後6時30分開演 盛岡市民文化ホール 大ホール


歌劇『魔笛』K.620(全2幕) (ドイツ語オペラ)
作曲:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)
台本:ヨハン・エマヌエル・シカネーダー(1751-1812)
初演:1791年9月30日 フライハウス劇場(別名:ヴィーデン劇場)

 盛岡ではおよそ一年ぶりのオペラだ。『魔笛』は名作中の名作にして定番中の定番だし、数少ないオペラ公演とあってチケットは完売。場内で販売されるパンフレットも、ぼくが買おうとしたときはすでに売り切れという人気ぶりだった。

 まず、斬新な舞台美術に魅了された。古典的な要素と前衛的な要素が、うまくミックスしていた。
 もっとも、がちがちなオペラファンはこういう舞台美術を受け入れないかもしれない。ぼくはオペラに限らず、フラメンコやジプシースウィング、津軽三味線などでもモダンな要素が加わった演奏を好む傾向がある。

 ぼくはオペラについて、まったく無知と言っていい。そんなぼくでも知っている曲ばかりなのだから『魔笛』はすごい。劇中の曲だけが独立して演奏される機会が多いので、どこかで耳にしているのである。
 タミーノが吹くはずの笛(フルート)をモーツァルトらしき人物が幽霊のように出てきて吹くなど、ちょっと意味のわからない演出もあったが、これもぼくの無知ゆえだろう。

 盛岡公演のキャストは下に記した。国立オペラ管弦楽団の響きが朴訥に感じられたが、 それはぼくが聴いた席(18列目)が悪かったようで、三階で聴いた知人はとてもよかったと言っていた。
 パミーナはとてもきれいな方で、 タミーノがかすんでしまった。残念ながら、夜の女王は3番手だったせいか、感情表現が今ひとつだった。
 パミーナは開演前から客席に坐っていて、そこからステージに上がるという演出だった。臨席の紳士諸氏はさぞドキドキしたに違いない。羨ましい。

 アンコールの拍手がなかなか鳴り止まず、出演者は何度も深いお辞儀で応えていた。盛岡の聴衆はいい舞台に飢えていると思った。


 〈キャスト〉
指揮:ヤン・ハルペツキー
演出:ダヴィド・ラドク
舞台美術・衣裳:カタリーナ・ホラー
振付:ハカン・マイヤー

ザラストロ・弁者:ヤーン・ガラ
タミーノ:ヤロスラフ・ブジェジナ
夜の女王:マルチナ・マサリコヴァー
パミーナ:マリエ・ファイトヴァー
第一の侍女:ヘレナ・カウポヴァー
第二の侍女:スタニスラヴァ・イルクー
第三の侍女:レンカ・シュミードヴァー
パパゲーノ:アダム・プラヘトカ
パパゲーナ:ラトカ・セフノウトコヴァー
モノスタトス:ヤン・イェジェク
第一の武士:ヴラディミール・ドレジャル
第二の武士:ズデニェク・ハルヴァーネク

プラハ国立劇場オペラ管弦楽団/合唱団/バレエ団

 〈ストーリー〉
昼と夜の二つの世界。夜の女王の娘パミーナは昼の世界を支配するザラストロに育てられている。夜の女王は娘を取り返し、昼の世界の支配権をザラストロから奪取しようと、王子タミーノに娘の救出を頼む。身を守るためタミーノは魔法の笛(魔笛)を、お供として同行することになってしまったパパゲーノは魔法の銀の鈴を与えられ、二人はザラストロの神殿までやってくる。ここでタミーノはザラストロが徳の高い高僧だと知り、パミーナを救うためにパパゲーノと共にザラストロの神殿で修行をする事となる。過酷な試練を乗り越えた二人は、祝福のうちに結ばれる。復讐に現われた夜の女王は、雷鳴とともに地獄に落ち、晴れて勝利者となったザラストロの高徳と栄光を讃える声が響く。

 〈プラハ国立劇場(スタヴォフスケー劇場)について〉
プラハ国立劇場はオペラ、バレエ、演劇をプラハ市内の複数の会場で上演している劇場組織です。その中でもスタヴォフスケー劇場は、18世紀の美しい建築が今も保持・使用されており、最も長い歴史と伝統を誇ります。現在モーツァルトのオペラはすべてこの劇場で上演されています。モーツァルトゆかりの劇場として知られています。

◆このごろの斎藤純

〇2月3日は盛岡市ブランドフォーラム(プラザおでってホール)に、2月10日は盛岡のまちづくりと都市交通を考えるシンポジウム(盛劇)にパネラーとして出演することになった。どちらも盛岡の今後のあるべき姿を考えていくうえで有益な集まりになると思う。

ジャンゴロジー/ジャンゴ・ラインハルトを聴きながら