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◆第178回 盛岡コメット混声合唱団を聴く(7.July.2008)

盛岡コメット混声合唱団 創立50周年記念演奏会
2008年6月21日(土)18時30分開演 岩手県民会館大ホール

 盛岡コメット混声合唱団にとって本コンサートは第45回定期演奏会であり、それ以外の演奏会を合わせると通算77回めの演奏会にあたる。長くやっていればいいというものではないかもしれないが、継続は力なりもという。誇るべき活動歴と言っていいだろう。

 そういう年季の入った合唱団なのだから、「枯淡の味わい」を聴かせていただこうと出かけていったのだが、これはいい意味で裏切られた。枯淡どころか、とてもみずみずしかったのだ。
 ステージに並んだ団員たちは、お孫さんがいらっしゃるような年齢の方が少なくない。にもかかわらず、である。まったく、恐れ入った。「枯淡の」などと考えていたことがちょっと恥ずかしくなった。そして、何か勇気づけられるような思いがした。

[演奏曲目]
第1部 混声合唱組曲『水のいのち』
      作詞 高田喜久雄/作曲 高田三郎
      指揮 松田晃
      ピアノ 雫石環
第2部 レクイエム K.626
      指揮 辻秀幸
      ソリスト 高橋織子(ソプラノ)
                 菅野祥子(アルト)
                 山口剛(テノール)
                 米谷毅彦(バス)
      管弦楽 モーツァルト祝祭管弦楽団

 折しも宮城・岩手内陸地震があったばかりだ。コメット混声合唱団の歌声は、被害にあわれた方たちを励ますかのように聴こえた。そして、地震を予期していたわけではないけれど、モーツァルトの『レクイエム』(ご承知のように、これは鎮魂曲と訳される)は特別の意味を持った。

 力が入ったせいか合唱のバランスが崩れたり、オーケストラとの噛み合わせが今ひとつだったところなど細かい傷もないではなかったが、正直なところ想像を遥かに超える内容だった。さすがに県民会館大ホールを満席にさせるだけのことはある。

 もうひとつ特筆すべきは、このコンサートのために結成されたオーケストラである。モーツァルト祝祭管弦楽団と名づけられたオーケストラは、地元のプロたちによる県内初めてのプロ・オーケストラである。今後の展開を大いに期待させる演奏だった。
 辻秀幸氏の指揮も、一緒に演奏したくなるような魅力的なものだった。合唱団とオーケストラのいい面をうまく引き出していたように思う。

 残念だったことがある。『水のいのち』の演奏直後、間髪を入れずに会場から「ブラヴォー!」の声が上がった。あれはいただけない。せっかくの名演をぶち壊しにする行為だった。曲の余韻を充分に味わってから拍手をすることを学んでほしい。

◆このごろの斎藤純

○『街もりおか』7月号ができました。今月号の座談会は岩手めんこいテレビの坂口奈央アナウンサーら民放4局の女性アナウンサーにご登場いただいています。県外から縁あって盛岡にいらした彼女たちの盛岡談義は興味津々の内容です。ぜひ手にとってご覧ください。東山堂書店本店とプラザおでって一階のおもてなしプラザで販売しているほか、東家、きのえね本店、レストラン和かな、栃内内科医院、細川歯科医院などの会員店に置いてあります。

○液体石鹸の詰め替え用ボトルにマウスウォッシュを補充してしまった。使うときになってその間違いに気がついたのだが、物忘れのほかに、こういう「うっかりミス」もこれから増えていくのだろう。

ライト・ソロウ/ギヤ・カンチェリを聴きながら