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◆第185回 重厚な『悲愴』に酔う(6.October.2008)

読売日本交響楽団演奏会
2008年9月27日(土) 午後6時30分開演
花巻市文化会館

 読売日本交響楽団が得意とするチャイコフスキーと、三浦友理枝が得意とするショパンという贅沢な組み合わせのプログラム。三浦友理枝を生で聴くのは初めてだった。

[1]チャイコフスキー 歌劇「エフゲニー・オネーギン」よりポロネーズ
[2]ショパン ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 op.11
[3]チャイコフスキー 交響曲 第6番 「悲愴」 op.74
アンコール チャイコフスキー くるみ割人形から
演奏:読売日本交響楽団
指揮:梅田俊明
ピアノ独奏:三浦友理枝

 [2]はピアノだけが目立つ協奏曲ではなく、オーケストラとのアンサンブルが眼目の作品のようだ。三浦友理枝はオーケストラとの音のやりとりを楽しみながら、余裕を感じさせる演奏でまとめた。梅田俊明の指揮も、ピアノに合わせるというよりは、ピアノとオーケストラをひとつにまとめて音楽をつくりあげていたように思う。
 ショパンの曲だけあって、随所できれいな旋律を聴くことができた。

 休息をはさんで、いよいよ[3]だ。
 まあ、この曲は聴くほうも疲れるから、それなりの覚悟が必要だ。せっかく花巻に行くのだから藪屋で蕎麦でも食べようと思ったが、いや、蕎麦では『悲愴』を持ちこたえることができないだろう。花巻市文化会館前のレストラン「ポパイ」でハンバーグとスパゲティのセットを食べた。ここのハンバーグは盛岡の「ベル」(びっくりドンキーの別名で全国展開していますね)にそっくり。もちろん、とてもおいしい。
 という具合に『悲愴』に備えたわけだが、大正解だった。
 この曲は「これでもか」と崇高なまでに美しい旋律が次から次へとあらわれつつ、重々しく(別の言い方をするなら「暗く」)終わる。弦楽セクションは弓から火の粉が立ち上るかのようだったし、金管セクションの迫力は読売日本交響楽団の面目躍如、木管セクションも美しかった。
 アンコール曲で、我々聴衆の肩の荷をちょっと軽くしてくれるという音楽的演出も心憎かった。

◆このごろの斎藤純

 上記のつづき。
 花巻市文化会館前のポパイは、次から次へとお客さんが途切れることなく入ってきて(しかも、年齢層が幅広い)、10分以上は待たされていた。おいしくて、ボリュームがあり、お値段もリーズナブルだから人気が高いのも頷ける。このお店が盛岡にあったら、ぼくは一週間に一回は通うかもしれない。花巻の人はいいナ。マルカンデパートのソフトクリームもあるし。

トラヴェルズ/パット・メセニーグループを聴きながら