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◆第187回 ブラボー! 弦楽合奏団バディヌリ(4.November.2008)

弦楽合奏団バディヌリ第12回定期公演
2008年11月1日(土)午後7時開演
岩手県民会館大ホール

  毎回、意欲的なプログラムで弦楽合奏ファンの耳を豊かにしてくれる弦楽合奏団バディヌリが、今回はメインプログラムにヴィヴァルディの『四季』を選んだ。クラシックというよりもポピュラーと言ってもいいような作品だが、これにはちゃんと理由があった。
コンサート・キャラバン(第106回参照) を通して交流のある若手ヴァイオリニスト4人をゲストに迎え、ソロを弾いてもらうというアイデアだ。これはぼくたちにとっても大きなプレゼントだ。
では、プログラムをご覧ください。

[第1部]
1.ヴィヴァルディ:弦楽のための協奏曲 イ長調
2.長谷川恭一:どんなに小さな(弦楽合奏版)
3.バッハ:ブランデンブルク協奏曲 第6番
      塩澤まり子(Va/京都バッハゾリステン)
      佐藤則子(Va/京都バッハゾリステン)

[第2部]
4.ヴィヴァルディ:協奏曲集『四季』
 第一番「春」ホ長調 篠原智子(Vn)
 第二番「夏」ト短調 菅谷史実(Vn)
 第三番「秋」ヘ長調 田口美里(Vn)
 第四番「冬」ヘ短調 井上静香(Vn)

[アンコール]
佐藤直紀(寺崎巌編曲):三丁目の夕陽
アンジェラ・アキ(寺崎巌編曲):手紙

 2は今年の岩手県芸術祭オープニングセレモニーのための書き下ろし作品で、本来は合唱曲(作詞は高橋克彦さん)。初孫を得たばかりという長谷川さんが、その思いを託した名曲だ。長谷川さんらしい、優しい(だが、決して易しくはない)旋律が印象に残る。きっとたくさんの人に歌われ、長く歌い継がれていくことになるだろう。

 4はサラッと演奏するとただ耳に心地いいだけのBGMになってしまう。そして、そういう演奏が巷に溢れていて、エレベーターのなかなどでもよく流れている。
そんなわけで、ぼくも実はこの曲には辟易しているほうで、めったなことではわざわざコンサートで聴こうとは思わない。実際、この曲をコンサートで聴くのは、2001年のギドン・クレーメル&クレメータ・バルティカの久慈公演以来だ。
ギドン・クレーメルがピアソラの『四季』とカップリングしたコンサートも今なお深く印象に残っているが、この日の演奏でぼくはヴィヴァルディのこの曲がいかに名曲であるかを改めて思い知らされた。
協奏曲には「競う」という意味が少なからず込められているそうだ。もちろん、スポーツのように点数やタイムを競うのとは意味合いが異なる。ゲストのソリスト4人は他の3人と個性を競いあい、バディヌリはソリストらとの「競演」を聴かせてくれた。
 その結果、いい意味での緊張感がホールを支配した。
バディヌリは(善し悪しは別として)勢いで聴かせる楽団だが、この日の演奏では勢いに加えてピアノあるいはピアニシモの表現力に際立ったものがあった。ピアノあるいはピアニシモは決して「小さな音」ではなく、「弱い音」なのである。弱い音がちゃんとホールの後ろまで聴こえないと本物のピアノあるいはピアニシモの表現ではない。バディヌリは本物を表現してくれた。
 そういう表現力の深さが、このいささか通俗的な楽曲を格調高いものにしたのだろうと思う。

 岩手県民会館大ホールに800人もの聴衆が集まったことは特筆しておきたい。継続こそ力という言葉通り、着実な活動が多くのファンを獲得してきたのだろう。そして、バディヌリはそのファンの期待に応える音楽を、これからもぼくたちに送り届けてくれるに違いない。

◆このごろの斎藤純

○盛岡文士劇のお稽古の日々です。なかなか厳しい稽古です。芝居のレベルが毎年高くなっていっているように思うのは錯覚でしょうか。

モーツァルト:ミサ曲ハ長調〈戴冠ミサ〉を聴きながら