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◆第196回 春にふわさしいベートーヴェン(23.March.2009)

  第4回ベートーヴェン・プロジェクトがあった。これは、ベートーヴェンの交響曲と協奏曲を、オリジナルに近いとされている楽譜を用いて全曲演奏するという試みである(第20回参照)。
 今回演奏された交響曲第4番とピアノ協奏曲第4番は、両方ともあまり耳にする機会がない曲目だろう。集客を考えれば、曲目の組み合わせを変えたりするところだが、ベートーヴェン・プロジェクトはシンプルに順番通りに演奏する方針を曲げない。
 こういう姿勢はある意味でアマチュアの特権だと思う。これからも曲げずにプロジェクトを推進してほしい。

 ピアノ協奏曲第4番は、アマチュアにこれ以上のものを求めるのは無理だろうと思えるほど素晴らしい演奏だった。音楽の表情の変化、陰影のめりはりをくっきりと浮き立たせる指揮者の意図が明確にこちらに伝わってきた。それぞれの聴かせどころも、ソリストが心からこの曲を慈しんでいることが音になって響いた。清楚なピアノ独奏も心地よかった。

 交響曲第4番も集中力の高い演奏だった。小編成オーケストラならではのシャープさが際立っていたし、ヴァイオリンを両翼に分けた対向配置が功を奏したのか各セクションの分離がよく、聴いていて楽しかった。
 ただ、ゆっくりめのフレーズのところでストリング・セクションに音程の乱れが生じたのは残念。ああいう目立つところで崩れるのは損だと思う。極端な話、登っている最中と下っている最中は少しくらい音程がずれても、てっぺんでさえ揃っていればあまり気にならないものだ。

 それにしても、以前はこの意欲的な試みにエールを送るつもりで客席にいたが、今回は純粋に音楽を楽しんでいることに気がついた。彼らの音楽にかける思いが、ぼくをそうさせたのだろう(しばしば演奏家は聴衆を育てるものなんです)。
 聴衆といえば、主催者発表で140名ほどしか入っていなかったのは、宣伝不足とはいえ、年末に聴いた岩手県民オーケストラ定期公演より遥かにいい内容だっただけに惜しまれる。

◆このごろの斎藤純

○風邪もひかずに春を迎えることができると思っていたら、原因不明の体調不良に陥ってしまった。医者は「忙しすぎるせいだ。休みなさい」という。ぼくは休んでいるつもりなんだけれど……。自分ではまだまだ若いつもりでも、体のあちこちにガタがきているのかもしれないですね。

コール・ポーター・ソングブックを聴きながら