「ギターを聴く」と題したが、正しくは原田智子さんのヴァイオリンとのデュオコンサートである。
ヴァイオリンとギターのデュオといえば、パガニーニがすぐに思い浮かぶ。パガニーニは演奏旅行先にオーケストラもなければピアニストもいないという場合に備えて、ギター伴奏付きのヴァイオリン曲を残しているからだ。
パガニーニに関して、ついでにもう少し付け加えると、コンサートが終わるとパガニーニは伴奏者から楽譜をすぐに返してもらい、決して演奏先に置いてくることはなかった(もちろん、写譜も許さなかった)。自分の「音楽が盗まれる」ことを極度に嫌ったのだという。
では、プログラムをご覧ください。
| 【第1部】 |
| 〈1〉G.F.テレマン:「12のファンタジー」より 第1番変ロ単調 |
| 〈2〉J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番 変ホ長調(原調ト長調) |
| 〈3〉J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 ニ長調よりシャコンヌ |
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| 【第2部】 |
| 〈4〉パガニーニ:カンタービレ |
| 〈5〉バルトーク:ルーマニア舞曲 |
| 〈6〉ホワイト:キューバの女 |
| 〈7〉ピアソラ:タンゴの歴史 |
〈2〉は高田元太郎さんの独奏、〈3〉は原田智子さんの独奏。とてもバランスがよく、しかも聴き応えのあるプログラムだった。
原田さんは「ギターはずるい」とおっしゃる。小さなオーケストラと呼ばれれるギターは、一台で伴奏と独奏を行なえるからだ(ただし、かつては音量が小さいため「虫たちのオーケストラ」と呼ばれたそうだが)。
高田さんはソロはもちろん、原田さんの伴奏にまわってもユニークな存在感を示した。バルトークでは原田さんを「焚きつける」ような伴奏で盛り上げた。
原田さんもバッハを端正に弾いたかと思うとバルトークでは「はじけて」弾いて、お見事だった。あえて言うならば、ピアソラでもバルトークのような「はじけ方」をしてほしかった。ピアソラこそ、もっと自由闊達な解釈がふさわしい。
高田元太郎さんについては第64回、第154回をご参照ください。
実は高田さんは12日にお父上を亡くされたばかりだった。その思いを自ら記されている。
「ギター製作家の水原洋さんが亡くなってから初めて盛岡を訪れました。父だけでなく水原さんへの思いも込めて演奏することができました。
やはりどんな気持ちの時に演奏しても、ギターは心を癒してくれるし、音楽は人に元気・勇気を与えてくれます。満員の聴衆が与えてくれた拍手はどれだけ励みになったことか判りません」
高田さんの演奏を聴きながら、ぼくも水原さんのことを思っていた。高田さんと引き合わせくれたのが、ギター製作家の故水原洋さんだった。高田さんのお父上も水原さんも、きっと会場のどこかでそっと聴いていたに違いない。 |