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◆第188回 フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち(17.November.2008)

『フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち』展
東京都美術館 2008年8月2日〜12月14日

  日本で、そして世界で人気を誇るフェルメールの作品7点が一堂に会した。
 このところ毎年のようにフェルメールの名を冠した展覧会が開催されているが、行ってみると展示されているのは一点だけ。一点だけの展示でも展覧会名に「フェルメール」と入るのがフェルメールたる所以である。
 今回は7点も揃ったから、立派なものだ。フェルメールに影響を受けたり与えたりしたデルフトの巨匠たちの作品も見応えがあった。
 光の扱い方と奥行き(独特の遠近法)、静寂な画面、観るものにはそれと相反するような視線の動きを誘う。秘められた寓話を知らなくても、どこか物語性のあるので気軽に楽しめる。
 つまり、難しい理屈はわからなくても飽かず眺めていられるのだが、寓話や技術などを頭に入れて観るとさらに深く楽しめる。
 そんなフェルメールだから連日、会場は混雑している。ぼくはたまたま隙間の時間にあたったようで10分待ちで入ることができ、トコロテン式に押し出されるようなこともなかった。

 現存するフェルメールは極めて少なく、いろいろな真贋論争があるので一定しないものの、30数点ほどしかないのは確かだ。これが飛躍的に増えることはまずない。
 観た点数を競うなんてのはいかにもスノッブでいやなんだけど(と言いつつ)、今回日本に来た7点のうち1点はメトロポリタン美術館で前に観た作品だから、初めて観たのは6点。ほかにルーヴルで1点、ワシントン・ナショナルギャラリーで3点(内2点は真贋論争あり)、フリックコレクションで3点観ている。
 また、国内で開催されたドレスデン国立美術館展で1点、「アムステルダム国立美術館所蔵17世紀オランダ美術展 レンブラント、フェルメールとその時代」点で1点、「フェルメール『牛乳を注ぐ女』とオランダ風俗画展」で1点観ているから、16点観たことになる。まだ半分だが、残りを観るのはもう一生無理かもしれない(日本に来てくれれば話は別だが)。

 忘れられた画家だったフェルメールは、19世紀に再評価されたという伝説が流布しているが、決して忘れられた存在というわけではなかった。ただ、今ほどの人気がなかっただけのことで、画家や専門家たちは常に敬意を払いつづけてきた。
 近年の再評価ということでいえば、ラトゥールなどはドラマチックな例だろう。また、これは何も西洋美術だけのことではない。日本でも伊藤若冲の例がある。
 クラシック音楽の世界にもある。バッハのこんにちがあるのは19世紀にメンデルスゾーンが再評価の機会をつくってくれたおかげだ。

 こんにち、我々がフェルメールを愛するのは、後の印象派を経験しているからだろうと思う。そういう意味ではフェルメールは先駆的な面を持ち合わせていた。 

◆このごろの斎藤純

11月22日〜23日と自転車祭りを開催します。ぜひ足をお運びください。

とき:11月22日、23日 10時〜16時
ところ:カワトクデパート前広場ほか

○子供用自転車、ロードバイク、そして珍しいリカンベントなどの自転車の展示(一部の自転車は屋上のテニスコートだったところで試乗できます)
○自転車試乗(屋上のかつてテニスコートだったところで行ないます)
○賞品付き自転車クイズ(クイズに答えて自転車のルールを学ぼう)
○自転車無料点検(部品交換を必要としない簡単な整備で、見違えるような走りになります)
○自転車安全走行アンケート(危険な目にあったことがありませんか。その場所と状況などを教えてください)
○おすすめの自転車ルート・アンケート(通勤通学や散歩などで走るオススメの道を教えてください)
○自転車グッズ(バッグ、ヘルメット)展示

○疋田智さんと斎藤純の自転車トークセッション
「簡単、安全、こうすればなくなる、自転車事故♪」
11月22日 午後2時〜
カワトク7階 ロイヤルルーム 入場無料

主催:盛岡自転車会議

ソース・マヌーシュ/マルセル・ロフラーを聴きながら