◆第116回 AGAPEstoreのショーゲキ(6.february.2006)
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松尾貴史とG2(演出家・ブロデューサー)のユニットAGAPEstoreの舞台
『BIGGEST BIZ 最後の決戦! ハドソン川をこえろ〜』を観た(1月31日、盛岡劇場メインホール)。 |
ストーリーを書いてもあまり意味がないのだけれど、一応まとめておこう。
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[フランク・シナトラをこよなく愛する神崎(後藤ひろひと)がシナトラの故郷ニュージャージー州ホーボーケン(マンハッタンからハドソン川を渡ったところ)に経営する雑貨&カフェに、ワケありの強盗・摩耶と潤一(篠原ともえ、菅原永二)がやってくる。レジの金目当ての簡単な仕事のはずが、勘違いの達人・木太郎(八十田勇一)、現社長・加賀(坂田聡)の勘違い、そして出会ってはいけなかった男・健三(松尾貴史)と出会ってしまったために当然のように事態は悪化。
さらに、後を追うように天才ハッカー・皿袋(松永玲子)そして、かつての宿敵・川島(三上市朗)も加わって、何億ドルというレベルのビジネス・ゲームに変貌を遂げていく。
さらにさらに、健三に恨みを抱く前社長・結城(粟根まこと)も現れて今にも爆発寸前。
果たして、強盗と復讐と巨大ビジネス・ゲームの行く末は?]
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いや〜、笑った笑った。ただただ笑っているうちに2時間10分が、アッという間に過ぎた。これ、実は6年越しのシリーズの完結編なんですね。ところが、ぼくは前作2編を観ていません。客席にいたほとんどの方がそうでした(なにしろ、盛岡では上演していない)。
そのため、ちょっとわかりにくいところもあったのですが、それにも関わらず「こんなに大受けしてもらって嬉しいです」と出演者が感激するくらい客席は湧いた。
出演者ひとりひとりのキャラクターが図抜けていて、濃くて、しかも意表をつく。摩耶は比較的まともというか、おとなしいキャラクターなのだが、篠原ともえちゃん(←なぜか馴れ馴れしい)がとってもよかった。本当のことをいうと、ともえちゃんをあまり好きじゃなかったんですが、ぼくが間違ってました。このお芝居で180度転換し、大ファンになってしまった。それから、豹変する松永玲子さんも衝撃的で、すっかりまいってしまった(ふた役のようなものでした)。
ぼくはあまり芝居を観ないほうだから、あまりちゃんとしたことはいえないが、こういうスラップスティック劇は役者も大変だし、観客だって大変だと思う。全編、畳みかけるようなギャグ・小技の連続で、寸分たりとも目と耳をおろそかにできない。ことに松尾貴史氏のマシンガンのようなセリフについていくには、鋭い反射神経が観る側にも必要です。つまり、これは観客も試される劇なんですね。
このお芝居をライヴドア事件などと重ねて、「お金に踊らされる人間を描いた風刺劇」と捉えることも不可能ではないかもしれない。けれども、そこに説教臭さは微塵もない。ちゃかして、笑い飛ばしているだけだ。その笑い飛ばすエネルギーが凄まじい。
また、日本では喜劇にも倫理感(のようなもの)が求められがちで、そのためどこかウェットなものになる。ところが、『BIGGEST BIZ 最後の決戦!
ハドソン川をこえろ〜』は徹頭徹尾、ドライだ。ドライではあっても、シニカルではない。ただひたすらハッピーなのだ。こんなにハッピーなお芝居は初めてだった。
笑いすぎて翌日は腹筋が痛かった。
なお、今回のタイトルですが「SHOW→笑→ショー→ショー+劇→ショーゲキ→衝撃」というわけですが、わかっていただけますよね^_^; |
◆このごろの斎藤純
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〇拙作の朗読会があります。アナウンサーによる朗読とギター演奏で、素敵な午後をお過ごしください。
「貴方と風とオートバイと 斎藤純珠玉短編朗読会」
2月12日(日)14:00開演
いわてアートサポートセンター風のスタジオ
(地図はhttp://www.ictnet.ne.jp/~arts/sisetsu-ac.html)
出演:大塚富夫(岩手放送アナウンサー)
小林ゆり子(テレビ岩手アナウンサー)
飯塚洋介(NHK盛岡アナウンサー)
斎藤純
演奏:伊藤隆&ガットストリングス
前売り:1200円、当日1500円
問い合わせ先:いわてアートサポートセンター
019-604-9020 |
ザ・キャピトル・イヤーズ/フランク・シナトラを聴きながら
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