◆ 第264回 仙台フィルハーモニー管弦楽団 (23.January.2012) |
仙台フィルハーモニー管弦楽団は、活動拠点の仙台市青少年文化センターが東日本大震災の地震とその後の余震によって、大きな被害を受けたため、6月まで公演の中止を余儀なくされた。
しかし、その間に『音楽の力による復興センター』を立ち上げ、チャリティーコンサートや被災地での慰問コンサートを精力的に行なった。被災しながらも音楽による支援をつづけた仙台フィルに国内はもとより海外からも高い評価が寄せられた。
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そんなわけで、毎年、楽しみにしている仙台フィルのニューイヤーコンサートに今年は特別な思いで出かけた。
とはいえ、もともとクラシックの名曲を、あまり肩肘張らずに聴くことができるコンサートであることに変わりはない。
今年のプログラムは、ヨハン・シュトラウスの喜歌劇「こうもり」序曲。ソリストに盛岡市出身の若手新進気鋭ピアニスト佐藤彦大を迎えてラフマニノフのピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18。そして、バレエ音楽の管弦楽曲版でチャイコフスキーの「くるみ割り人形」組曲第1番とビゼーの「アルルの女」第2組曲。指揮は首席客演指揮者の小泉和裕氏。
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気のせいかもしれない(私の思い込みが過ぎるのかもしれない)が、仙台フィルの響きに精神的な面での「厚み」や「深み」が増したように感じられた。あるいは、「優しさ」と言い換えてもいいかもしれない。成長をしたなどとはおこがましくて言えないが、震災が何らかの影響を与えたのだろう(あるいは、私の耳が影響を受けただけかもしれない)。
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プログラムはいずれもどこかで一度は耳にしたことのある作品だが、今回はやはりラフマニノフのピアノ協奏曲が眼目だろう。名曲中の名曲であり、数あるピアノ協奏曲の中でも重量級の作品だ。
佐藤彦大さんのピアノは、ひとつひとつの音はシャープでありながら、タメというか粘りのある演奏で、いかにもロシア生まれの音楽だと聴いていて納得した。
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ここで佐藤彦大さんのプロフィールを紹介しておこう。
東京音楽大学付属高等学校、同大学器楽専攻ピアノ演奏家コースを経て、現在同大学大学院器楽専攻鍵盤楽器研究領域在学中。
2008年には大学から奨学金を得てザルツブルク・モーツァルテウム国際サマーアカデミーに参加、終了時にディプロマを取得。2004年第58回全日本音楽コンクール高校の部全国大会第1位。2006年第1回野島稔・よこすかピアノコンクール第1位。2007年第76回日本音楽コンクール第1位、併せて野村賞、井口賞、河合賞を受賞。2010年第4回仙台国際音楽コンクール第3位、2011年第5回"San Nicola di Bari"国際ピアノコンクール(イタリア)第1位、併せて"F.Liszt2011"特別賞、批評家賞を受賞。
華々しい受賞歴もさることながら、実際にダイナミックな演奏に接して、今後の活動がますます楽しみになった。
そして、仙台フィルには被災地のオーケストラとして、内外での支援活動をこれからもお願いしたい。
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◆このごろの斎藤純 |
〇震災後、使えない状態のままだった仕事部屋の片づけをじょじょに進めている。半年くらいは見るのもイヤだったが、ようやく覚悟を決めたようなしだい。この機会に蔵書を大幅に減らすつもりだ。
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ライヴ/クリームを聴きながら |
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