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◆ 第266回 脇役のいないロック・バンド (20.February.2012) |
テデスキ・トラックス・バンド来日公演 |
私が十代半ばから二十代初めのころまで熱心に聴いていたのは、オールマン・ブラザーズ・バンドなどのサザン・ロック、マディ・ウォーターズやリトル・ウォルターなどのブルーズ、オーティス・レディングらのソウル・ミュージックだった。 |
デレク・トラックスは、かつて聴いていたオールマン・ブラザーズ・バンドのオリジナル・メンバーだったブッチ・トラックスの甥で、デレクという名はエリック・クラプトンの伝説的なバンド「デレク&ドミノス」に由来する。要するに、生まれたときからロック・ミュージシャンになる宿命を背負っていた。たいていの場合はその重すぎる「宿命」に潰されてしまうものだが、デレクはまっとうにその道を歩むことになる。 |
スーザン・テデスキを知ったのはインターネットの動画が最初だった。フェンダー・テレキャスターを弾いて、ブルーズを歌うテデスキの姿にまいった。そのときはスーザンとデレクが夫婦だということは知らなかった。 |
それぞれ自身のバンドで活動していたデレクとスーザンが、ひとつのバンドに合体させ、CDを出したときはとても興奮した。そのCDにはDVDも付いていて、来日公演への期待も高まった。 |
その期待を裏切らないコンサートだった。いや、裏切らないどころか、期待を遥かに超えるコンサートだった。 |
では、メンバーを紹介しておこう。 |
一人一人が名手で、曲ごとにそれぞれの聴かせどころが用意されている。それがこのバンドの凄いところで、決してデレクとスーザンだけのバンドではない。デレク自身、このバンドについて「誰一人として脇役がいない」と語ったそうだが、実際、そのとおりだ。 |
彼らのオリジナル曲とカバー曲で構成されていることがわかる。もっとも、カバー曲もすっかり彼らのものになっていて、オリジナル曲といっても疑われないだろう。典型的なモータウン・サウンドの11の演奏が始まったときは驚いたが、後で調べてスティーヴィー・ワンダーの曲だと知った。こういう曲もカバーしてしまうところがこのバンドの懐の深さだろう。 |
このバンドの懐の深さもさることながら、こういうバンドが多くの人に支持されるアメリカの音楽シーンの懐の深さも痛感させられた。 |
2曲のアンコールを終えてステージから去るときに、スーザンはピックを何枚か客席にプレゼントしていた。さらに、客席からの求めに応じて、床にあったセットリストもプレゼントしていた。丁寧に手渡しをする姿が印象的だった(このセットリストはインターネットで見ることができた)。 |
◆このごろの斎藤純 |
○まわりでは風邪やインフルエンザにかかった人が多かったが、私はお茶ウガイと手洗いのおけがか、どうにか無事に一冬過ごすことができた。 |
バッハ/管弦楽組曲を聴きながら |
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