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目と耳のライディングバックナンバー

◆第338回 聖なるステージ (23.Feb.2015)

 活動20周年を迎えたキャラホール少年少女合唱団の記念コンサートが、2月15日、キャラホールで開催された。
 私はキャラホール少年少女合唱団の中学2年生の団員から、直筆のお手紙が添えられた招待状をいただいていた。この日はほかにもコンサートやイベントが目白押しだったが、このご招待に応じて本当によかった。
 なにしろ素晴らしかった。
 キャラホール少年少女合唱団のコンサートの質の高さはよく知っている。そんな私でもこの日のコンサートにはただただ脱帽するばかりだった。幕開けと同時に私は頬と涙腺が緩みっぱなしで、笑顔のまま涙を流しつづけた。
 これまでのミュージカルのベストシーンを組み合わせた構成が巧みだったし(脚本と演出は劇団「赤い風」の大森健一さん)、懐かしさとともに「ずいぶん成長したなあ」という感慨も湧いた。子どもたちはかなり難しいハーモニーもみごとにこなし、それぞれのキャラクターになりきった演技もよかった。何よりもその熱心さに打たれた。
 20周年といえば、盛岡文士劇も昨年末に20周年を迎えた。キャラホール少年少女合唱団コンサートはその盛岡文士劇に勝るとも劣らぬ人気ぶりで、客席はいつも満席になる。
 キャラホール少年少女合唱団コンサートは、本当に手作りのコンサートだ。出演する子どもたちのお父さん、お母さんやOB/OGが裏方で大活躍をしている。それも衣装や舞台美術から当日の会場の案内係まで、幅広い領域にわたる。その取り組み方にも感銘を受けないではいられない。
 団員たちの熱演もさることながら、優しく豊かな声を持つ佐々木弐奈さん(二期会所属)が要所要所で舞台を引き締めて、子どもたちと一体になってステージをつくりあげていた。佐々木さんは6度目の共演とのことだから、ゲストというよりも一員といっていいのかもしれない。
 それにしても、世の中に「聖なるもの」があるとしたら、この日のステージこそがまさにそれだった。ステージの上の子どもたちと、それを支えている裏方の大人たちが、心をひとつにして突き進んでいた。この奇跡と思えるような美しいステージを実現させたのは、20年の長きにわたってキャラホール少年少女合唱団を指導してこられた赤沼利加さんである。
 いつだったか私に弱音を漏らしたこともあったが、変わらぬ熱意と執念をもってキャラホール少年少女合唱団を育ててきた。赤沼さんの功績は、あらゆる称賛の言葉を集めても足りないくらいだ。
 地方創世が叫ばれているが、どうも経済の話ばかりで、残念なことに文化が忘れられがちだ。人間にとって何が大切なのか、その視点のない論議は結局のところ実を結ばないような気がする。
 キャラホール少年少女合唱団のように息が長く、世代を超えた交流を生む文化活動が、地方創世のひとつの鍵としてもっと脚光を浴びてもいい。
〈このごろの斎藤純〉
〇今シーズンからスキーを再開したことは前に書いた。シーズン中に10回はゲレンデに行くことを目標としたが、12月から滑りはじめることができたおかげで、2月中に達成してしまった。腕前はさほど上達しなかったが、それは来シーズンの目標にとっておくことにした。
〇今年は花粉の飛散量が多いというので、予防のため、いつもより早めに薬を飲みはじめている。
プロコフィエフ:交響曲第3番を聴きながら

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