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◆ 第255回 印象派の傑作揃い (29.August.2011)

ワシントン・ナショナル・ギャラリー展
印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション
2011年6月8日(水)- 2011年9月5日(月) 国立新美術館(東京)

 1997年にニューヨークに行ったとき、マンハッタンの主な美術館に加えてフィラデルフィアとワシントンの美術館をまわった。もちろん、ナショナル・ギャラリーも訪れたので、今回の企画展ではいくつもの作品と再会を果たすことができた。

 アメリカの美術愛好家は印象派を生んだ本国フランスよりも早く印象派美術を認め、たくさんの作品を買い入れた。少し遅れてフランスの人々が印象派に目覚めたとき、いい作品のほとんどはアメリカに渡ってしまっていたともいわれている。
 大富豪の銀行家アンドリュー・メロンも印象派などのコレクターだった。メロンは自分の名前を冠することを禁じた上で、自らのコレクションと、美術館建造費を寄付し、それがナショナル・ギャラリーの基礎となった。
 今もナショナル・ギャラリーのコレクションは市民(といっても、大金持ちなわけだが)からの寄贈品でまかなっている。だから、日本の国立美術館とはやや性格が異なる。

 この企画展には、通常、あまり貸し出さない作品が9点も来ている。語弊を畏れずにいうなら、印象派の凡作を観てきた目が、この企画展によって洗われるように感じることだろう。私自身、印象派の真の輝きを改めて思い知らされた。
 そして、この時期にワシントンのナショナル・ギャラリーを訪れた美術愛好家は、目当ての作品が日本に貸し出されているのを知って、がっかりしていることだろう。ごめんなさい。

 1990年代に私はパリ、ロンドン、ニューヨークへ何度か行っている。そのころ、私は印象派美術に興味の中心があったので、オールドマスター(18世紀以前の作品)はほとんど観てこなかった。後で思うと、印象派は日本でも目にする機会が多い。現に、青森県立美術館でも、切り口に工夫を凝らした印象派絵画展が開催されている。
 それに比べて、オールドマスターを観る機会は少ない。ヨーロッパはもちろん、アメリカにもオールドマスターの素晴らしいコレクションがある。フェルメールだけは観てきたが、ほかのオールドマスターもちゃんと観ておけばよかったと後悔している。
 ちなみに、アメリカでは19世紀アメリカ絵画も集中的に観た。これは日本でもヨーロッパでもまずお目にかかれないから、アメリカに行くしかなかった。残念なことに、その状況は今も変わりない。

◆このごろの斎藤純

〇神戸で開催されたNPOの集まりに参加したついでに、「人と防災未来センター」を見学してきた。阪神淡路大震災について後世に伝えることと、防災に関する国際的な研究機関の役割を担っている。いずれ東日本大震災に関しても、同様の施設がつくられるだろう。まだ復興もままならない状況だが、後世に伝え続けていくことを念頭に、大学などが中心になって今から準備を進めておかなければなるまい。

シークレット・ストーリー/パット・メセニーを聴きながら