◆第162回 北国の響きを奏でる北上フィル(12.november.2007)
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北上フィルハーモニー管弦楽団 第13回定期公演
2007年11月4日(日) 午後2時開演 北上市さくらホール 大ホール
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北上フィルはクラシックの演奏会として定期演奏会と、それよりややカジュアルな演奏会として「題名のある音楽会」の二本立てで毎年定期的にコンサートを行なっている。とても熱心な団体だ。また、他団体のコンサートがあると、客演として招かれる楽員も少なくない。それだけ優秀なプレイヤーが揃っているということだろう。
今回は北欧の代表的な作曲家シベリウスとグリーグから、とても聴き応えのあるプログラムを組んだ。まず、曲目をご覧ください。
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[第1部]
1 J.シベリウス:交響詩フィンランディア Op.26
2 E.グリーグ:ピアノ協奏曲(ピアノ独奏:松岡淳)
[第2部]
3 J.シベリウス:交響曲第2番 Op.43
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1 はフィンランド讃歌というべき曲で、ロシアの圧政に屈せず、強い意志で自立し、黙々と立ち向かっていく国民の姿が目に浮かぶ。フィンランド第2の国家とも呼ばれている。
おそらく、そういう成立事情を知らずに聴いても、北上フィルの演奏は心を大きく揺さぶったに違いない。
「一曲目からこんなに乗りまくって、最後までもつだろうか」などとよけいな心配までしてまった。
2 はノルウェーのフィヨルドを描写したという有名なテーマを誰もが一度は耳にしているはず。ところが、ぼくはこの曲を生で聴くのは今回が初めてだ。松岡さんのピアノも、リサイタルは聴いたことがあるけれど、オーケストラとの共演を聴くのは今回が初めてだった。
松岡さんはこの曲をレコーディングもしているから、十八番と言っていい。瑞々しく、新鮮な演奏だった。決して独走しようとせず、北上フィルとの共演を楽しむようにピアノを弾いている姿が印象に残った。
アンコールに応えて、グリーグの『ペール・ギュント組曲』から第2組曲4番「ソルヴェイグの歌」のピアノ編曲版を演奏した。これがまたいい演奏で、いつかまた松岡さんのリサイタルを聴いてみたいと思った。
3 はシベリウスが残した7つの交響曲中、最も有名な曲だ。大曲であり、難曲でもある。
緊張感のある重量級の演奏だった。曲が終わったとき、ぼくは思わず「凄い!」と呟いていた。この曲に果敢に挑戦したことに敬意を評したい。
常任指揮者の松元宏康さんは童顔なのでちょっと頼りなさそうに見える(ごめんなさい)が、音楽がはじまるとそんなことはこちらの頭からすっかり消えてしまう。
「俺についてこい」という指揮ではなく、共に音楽をつくっていこうという姿勢が伝わってきて、とても気持ちいい。
演奏後の松元さんの「北上のみなさんの心の支えがあってこその北上フィル。みなさんも一緒に北上フィルを育ててください」というスピーチも素晴らしかった。
松元さんを迎えて、北上フィルは皮が一枚剥けたような気がする。これからどんなふうに化けるか、大いにたのしみだ。
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◆このごろの斎藤純
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○12月1日、2日の二日間にわたって全3公演が行なわれる文士劇の稽古に追われている。今回はなにしろセリフが多い。でも、珍しく楽しんで演じているので、ようやく「文士劇にハマってきた」のかもしれない。
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グリーグ:ヴァイオリン・ソナタを聴きながら
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