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◆ 第235回 脂の乗りきった弦の響き(1.November.2010) |
弦楽合奏団バディヌリ 第14回定期公演 |
〔1〕バルトーク:ルーマニア民族舞踊組曲 |
〔2〕マルチェロ:オーボエ協奏曲 |
〔3〕フィンジ:弦楽のためのロマンス |
〔4〕バーバー:弦楽のためのアダージョ |
〔5〕バッハ:管弦楽組曲第3番 |
〔1〕のバルトークは編曲もの(オリジナルはピアノ曲)。こういう民族色の強い音楽をバディヌリがやると乗りがよくて、とてもおもしろい。ただ、これは編曲がおとなしいせいかもしれないが、もっと土くさい演奏でもよかった。 ゲストに迎えたオーボエの戸田智子さん(東京藝術大学別科)との共演による〔2〕は、第1楽章が始まったとき、「こんなにゆっくりで大丈夫だろうか」というテンポだったが、最後までゆるまず、堂々たる名演だった。これはこれで聴き応えがあった反面、第2楽章のアダージョが、ちょっとかすんでしまった。 バディヌリにとって〔3〕はお手のもの。〔4〕も聴き応えがあった。 〔2〕の名演に加えて、念願の管楽器を迎えての〔5〕の出来が出色だった。管弦楽組曲といえば今日ではバッハの作品を示すほど、バッハにとっても我々にとっても大切な曲だ。一般には第2楽章が「G線上のアリア」としてよく知られている。確かに素晴らしいメロディだが、この曲に限らず、私は一部の楽章だけを演奏することがあまり好きではない。この曲も、ひとつの組曲の中の第2楽章として聴くと、その重要度が明確になる。バディヌリの演奏も乗っていたし、トランペットの牛腸和彦、佐々木駿さんも素晴らしかった。 アンコールにティンパニを交えた「アンダンテ・フェスティーヴォ」が演奏された。この曲はティンパニ抜きで演奏されることが多いが(シベリウス自身によってティンバニ抜きで演奏してもいい、と指示されている)、おしまいの4小節にティンパニが入るだけで、ずっとドラマチックになる。 バディヌリのコンサートマスター寺崎巌さんは、岩手県芸術祭選奨を受賞し、これからますます活躍が楽しみな音楽家だ。そして、バディヌリは来年、結成30周年を迎える。 |
◆このごろの斎藤純 |
○ 「もりおか映画祭2010」にお越しいただき、ありがとうございました。来年もさらにパワーアップし、映画の力で盛岡をもっと元気な街にしていきたいと思っています。どうぞ、お楽しみに。 |
エネスコ:弦楽四重奏曲を聴きながら |
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