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◆ 第252回 アートのチカラ、いわてのタカラ (11.July.2011) |
東日本大震災の影響で、岩手県立美術館は今年度の企画展をすべて中止せざるをえなくなった。が、こういうときだからこそ、と美術館スタッフは果敢に新事業に取り組んでいる。 その成果のひとつが、現在開催中の「'70、'80年代生まれの美術家たち、IMA(いま)ここで」展だ。 果敢に、と書いたのは決して大袈裟な言葉ではない。まず、企画展の予算がゼロになったのだから、何をやるにもそれを捻出しなければならない。しかも、通常、企画展には1年以上も準備時間をかけるのだが、その時間もない。 そういう苦しい状況のなかであっても、企画展を開催するからには「時間がなかった」とか「予算がないから」というのは、何の言い訳にもならない。 つまり、岩手県立美術館は自ら「試される」道の一歩を踏み出したと言っていいだろう。 果たしてその最初の一歩は……。 結論から書く。素晴らしい企画展だ。久々に県立美術館でわくわくする気分を味わった。 出品作家をごらんいただきたい。 |
浅倉伸[立体](1971年生/岩手県盛岡市在住) |
個々の印象は述べないが、この企画展に参加した作家たちの息吹や思いが伝わってきて、胸が熱くなった。スタッフ(学芸員)による解説も素晴らしい。 岩手県立美術館ができて、およそ10年。美術館と岩手の美術家たちは着実に「絆」を深めていた。だからこそ実現したのだろう。 手前味噌になるが、石神の丘美術館で開催中の『プリン同盟展』も本展も「アートなんて」と敬遠している方にこそ足を運んでいただきたい。 語弊を恐れずに言うなら、本展も『プリン同盟展』も敷居が低く、入りやすい。けれども、美術館を後にするときは、きっと入ってきたときよりも一段高いところから出ているに違いない。 ぜひ親子で観にいっていただきたい。 震災のせいで、を言い訳にしない。岩手県立美術館のこの不屈の精神はあらゆる復興の場面でいいお手本になるだろう。 |
会 期:2011年7月2日[土]-9月28日[水] |
◆このごろの斎藤純 |
〇盛岡市が7月11日に開設し、運営をSAVE IWATEが担う復興支援センターのセンター長をつとめることになった。盛岡市には岩手県内の被災地はもとより、宮城、福島からも含めて2200名の方が避難しています。 |
新しい音楽/キース・ジャセット・ソロ・コンサートを聴きながら |