![]() |
トップ > 目と耳のライディング > バックナンバーインデックス > 2011 > 第257回 |
◆ 第257回 目で見る詩(藤井勉展を観る) (11.October.2011) |
『藤井勉展 ―生命と大地―』 |
2009年の春、石神の丘美術館の芸術監督に就任した直後に私は藤井勉さんを訪ね、展覧会の相談をもちかけた。藤井さんはその場で快諾してくださった。 藤井勉さんは震災直後から、沿岸の知人に物資を運ぶなど、支援活動をなさってきた。ことに陸前高田とは、キャピタルホテル1000のロビーに藤井さんの大作「風と潮の神話」がかけられていて、多くの市民に親しまれてきたという縁があった。 石神の丘美術館で開催中の『藤井勉展』に、再制作中の「風と潮の神話」が特別展示されている。画家は未完の作品を公開することをめったにしないものだが、今回は特別に公開をお許しいただいた。震災と向き合う藤井さんの姿を、未完の絵を通して分かち合うことができるのではないか、と思っている。 藤井さんは改めて言うまでもなく、性別年齢を問わず、多くのファンに愛されている。そして、多くの方が美術館での展覧会を待ち望んでいらっしゃった(その中には私自身も含まれる)。来館者から口々に「よくやってくれた」と感謝の言葉を聞くたびにそのことを強く感じる。「岩手県立美術館がいつかやってくれると思っていたのに……。とうとう石神の丘美術館がやってくれた。本当にありがたい」という声も少なくない。私たちスタッフにとって「ありがたい」とか「ありがとう」と言われることくらい嬉しいことはない。 藤井さんの絵の人気の秘密はどこにあるのだろうか。 めったに見ることのできない大作を中心に、初期の作品も展示している。ぜひ足をお運びいただきたい。 |
◆このごろの斎藤純 |
〇酷暑の夏がようやく終わったと思ったら、急に寒くなった。夏があまりにも暑かったせいかもしれまないが、中間のちょうどいい気候が省略されて、突然に晩秋が訪れたような気がしてしまう。つまり、自転車やオートバイが気持ちいい季節を経ないまま冬に向っているわけで、とても寂しい。 |
Places & Spaces/ドナルド・バードを聴きながら |
![]() |