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目と耳のライディングバックナンバー

◆第290回  横尾忠則の世界(25.Feb.2013)

 岩手県立美術館の『横尾忠則ポスター展』に行ってきた。会期は24日までだったから、ぎりぎり間に合った。
 横尾忠則は1960年代半ばから今日まで、もう50年あまりも時代の先頭を切ってきた。海外での評価も高い。
 けれども、私にとって横尾忠則はサブカルチャーの帝王(あるいは神様)というべき存在だ。そんな思いこみのせいか、メインストリームの仕事を見ても、サブカルチャーの香りを感じてしまう。歌舞伎だろうと宝塚だろうとサブカルチャー化してしまうと言っては言い過ぎだろうか。
 アングラであろうとメジャーであろうと同じだと横尾忠則が主張しているのかどうか、私にはわからない。
 私が十代のころから、横尾忠則の作品はさまざまなメディアで見られ、意識しなくても目にする機会が多かった。。特に印象深いのは、マイルズ・デイヴィスのアルバム『アガルタ』、サンタナのアルバム『ロータスの伝説』のジャケットデザインだ。ニューヨーク近代美術館に収蔵されたということよりも、これらのアルバムのほうが私にとっては強烈なニュースだった。
 本展では高校生のときに手がけた最初のポスター(ちゃんと保存されていたことに驚いた)から作者所蔵の最新作まで、約400点あまりの展示で横尾的世界にどっぷりと浸らせてくれた。
 ことに演劇やコンサートのポスターには足を長く止めた。出演者やホール名が昭和を強く感じさせた。横尾忠則は平成になってもなお旺盛な創作活動をつづけていらっしゃるが、やはり昭和の一時代を象徴する芸術家だと私は思う。
〈このごろの斎藤純〉
〇寒い日がつづいている。冬はもう飽きたが、まだ2月なのだから、そんなことを言ってもしようがないか。
シェーベルク:セレナーデを聴きながら

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