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目と耳のライディングバックナンバー

◆第408回 10回目を迎えた奥州市民文士劇(29.Jan.2018)

第10回奥州市民☆文士劇
『ヤマトタケル -帰ろう! ヤマトへ まほろばの国へ-』
江刺体育文化会館ささらホール
平成30年1月27日(土)午後3時開演
     1月28日(日)午前10時30分開演
          午後3時開演
 市民の手作りによる市民劇が岩手県では盛んに行われている。そのひとつ、奥州市民文士劇が第10回を迎えた。
 記念すべき第10回の演目は『ヤマトタケル』である。『日本書紀』と『古事記』によって伝えられている英雄談を、奥州市民文士劇の座付き脚本作家といっていい道又力さんが上質なエンターテインメントに仕立てた。メリハリのある脚本をダイナミックなお芝居にまとめあげたのは、去年に続いて演出を担当されたわらび座の長掛憲司さんである。休憩をはさんで2時間半近いお芝居だが、緩急が巧みで緊張感が途切れることなく、アッという間に終わったという気がした。
 ことにダイナミックな殺陣と複雑な群衆劇は長掛演出の白眉であり、客席のあちこちから感嘆のため息が洩れていた。かなりハードな稽古の賜物と思われるが、長掛さんの高度な要求に応えた出演者たちに改めて拍手を送りたい。
 出演者は60名あまりに及び、それぞれの個性が光っていた。中でも主役のヤマトタケルを演じた伊藤玲雄さんは堂々たる存在感があり、みごとだった。機会があれば別の役を演じるお芝居もぜひ見てみたい。
 さらに特筆しておきたいのは、ヤマトヒメ役の佐藤とみ子さんである。飄々としていながら、鋭さも秘めているという役の難しさもさることながら、ヤマトヒメが登場するだけで舞台の雰囲気が一変するのだから、あれは天性の資質というほかない。
 奥州市民文士劇のスーパーバイザーでもある高橋克彦さんは声だけの出演だったにもかかわらず、その存在感を示された。盛岡文士劇でもそうであるように、奥州市民文士劇にとっても克彦さんは精神的な支柱になっているに違いない。
 そして、盛岡文士劇と二戸市民劇においてもキーパーソンである北上秋彦さんが、奥州市民文士劇でも全体の牽引力となっていらっしゃるのを感じた。
 奥州市民文士劇のレベルの高さについては、初めての観劇記(第242回)で触れている。久しぶりにささらホールを訪れた私は、舞台はもちろんのこと、客席の熱気にも圧倒された。
 文化の地産地消が、地域活性化の重要なキーワードとなっている。奥州市民文士劇はその好例といっていいだろう。
〈このごろの斎藤純〉
〇相変わらずスキー三昧である。先日は遠来の友が、岩手のスキーを満喫した。盛岡市内から1時間足らずのところにスキー場がいくつもあるという環境を羨ましがりつつも、「盛岡の人はこの贅沢な環境を活かしきってはいない」という苦言を残していった。
ウィンウッド・グレーテストヒット・ライヴを聴きながら

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